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私は考える。
『本当に無口さんなんだね
七七七さんは』
一ヶ月前に
“それ”を私に最後に言った
名前も知らない、存在も薄れかかっているその人間の事を
あれは、ちょうど
大学の授業が終わって廊下を
歩いていた時だっただろうか。
それとも、電車待ちをしていた駅のホームの時だったか。
『噂以上だね、【黒葬の令嬢】
ふむ 正に深淵の美女って訳だ
…んー、俺には只の葬儀屋にしか見えないんだけどなあ。』
『“鴉の濡れ羽色みたいな髪”
ってさ本当にあるんだねぇー
うん、麗しき長髪だ。
俺、鴉って嫌いなんだけどさ』
『反応無しか ふふふ
ひょっとして俺も君には
“見えて”ないのかい?』
記憶が曖昧というか
記憶が冷却しかかっている所為か、何処かは思い出せない。
『 』
人が私との関わりを
“意図的”に断つ様に。
私は人との関わりを
“無意識的”に断っていた。
『 』
ふよふよと
漂うように 虚ろに
生を蔑ろにしているのだ私は
『 』
あぁそうだ、思い出した。
最後に喋ったのはこの時。
そう、確か――
『ねぇ七七七さん。
望むなら俺が、君を
■してあげようか?』
「■■■」
――ここで私の記憶は途切れる
――――――――
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