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「……あのぅ、後もうひとつ
聞いても 良いですか…?」
(もうひとつ…)
口には出さずに
そう脳内で呟きつつも
元の席に座り、紅さんを見て
「…………。」
私は頷いた頷いてないか
よく解らない境目で、
頭をかくりと 動かす。
どうやら…紅さんは改めて私に聞きたい事があるらしい。
一体、なんなのだろうか
「 信じて、くれますか?」
「…?」
唐突に、そう私に訊く紅さん
峻厳な瞳に 真剣な表情だ。
信じる… 何を?
無表情のまま首を傾げる私
ぎこちなく折れ曲がる、私の首
不気味だ。
そんな私を見て、あからさまに
がっくり と肩を落として
目を伏せる紅さん。
「やっぱり そんな簡単には
幻想郷の事、信じて貰えないかもしれないですけど――
でも美鈴はっ…いやわたしは!本当にそこから来たんです!」
「……?」
話しが、見えない。
突然紅さんは何を…
いや待てよ
――そういえば先刻、
そんな聞き覚えのない地名やら建物、人物やらの出自を紅さんが語っていたような気がする。
『はいっ☆美鈴はその世界で、吸血鬼の館の門番をしていたのです!』
確かこんな風に こんな塩梅に
言っていた、気がする。
…そんなこと
信じるも信じないも
最初から分かっている
解りきった事実。
――私にとって
それは、飛躍の過ぎた御伽話で
突拍子もない 滑稽な、
空想話みたいで――つまり
紅さんには悪いが
信じれる筈がない
信じられる筈が、無い。
「……」
「信じては…
くれない、のですね」
「はい。」
「あぅぅ…そんなはっきりと…
そう ですか…」
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