あの色
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あの色は聡明で、朗らかで、今思へば、恐ろしく野暮つたゐものでした。 それだけ人に魅せる美しさがあり、同時に人を滅失させるそれでもあつたのです。 己の美麗を見せびらかし、相手を落たしめる。 だからこそ、玉手箱にしまわれたのでせう。 人を謗らせぬため。 人を滅ぼさぬため。 何にも染まらぬ美しさは、それだけ、凶器なのです。
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