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夢を見た。
いや、それは寝れば人間誰だって夢の一つや二つ普通に見るだろう、と思うかもしれない。
けれど今回のそれは、脈絡のない、無茶苦茶なストーリーではなかった。
極めて現実的で──もっと言えば、俺の記憶の回想をくみ取って組み立て直したものだった。
内容はこうだ。
まず俺がいたのは教室だった。
背丈に合わない椅子に座っていて、机もそれに合わせて小さく、天井部に膝がついてしまうくらいだ。
違和感を感じながらも辺りを見渡す。
どうやら俺の座るポジションは教室の一番後ろのようで、前には同じような机がいくつも立ち並ぶ。
そして、その数に合った人数の子ども──小学生とおぼしき子どもたちが教室を所狭しと暴れまわっていた。
にぎやか、というよりただうるさい。
秩序のない無邪気な声が耳をつんざく。
はっきりいって、一人だけ高校生である俺の存在は、この中ではどうしても浮いていた。
この時点で、これが夢なんだと認識する。
夢であればこのでたらめな状況にも納得がいく。
というか、どう考えたってそれしかありえないだろう。
夢だと分かってしまうと、急に興醒めに似た感覚を覚えた。
早く終わればいいのに。こんなの、ただうるさくて鬱陶しいだけだ。
これだけだと、俺がどうしようもなく心の冷たい人間に見えるかもしれないけれど、俺の身にもなってほしい。
というのも、俺の存在は周りの小学生たちには認識されていないらしく、さっきから無視され続けているのだ。
おまけに、暴れ回った拍子に俺に触れるようなことがあったとしても、例外なくすり抜けていってしまう。
最初こそ驚いたけれど、慣れてしまうとなんとも味気のないもんだ。
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