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おかしい。
何がどうなってるんだ?
首を捻りながらもう一度クラスを確認する。
何度見ても「1―C」の教室だよなここ。
じゃあなんで──
柄にもなく眉間にしわを寄せ考えてみる。
すると、背中に聞き慣れた声がした。
「夏樹ぃー、始業式サボってこんなとこでなにしてんだよ」
振り返ると、そこにはぱっと見すごいイケメンのやつがいた。
説明が雑に聞こえるかもしれないけれど、そう形容するのが一番しっくりくるんだから仕方ない。
派手に染まった茶髪を整髪料でカットモデルのように一切の乱れなく整え、女みたいな大きな瞳がまっすぐ俺を見る。
ネクタイは緩められ、初対面の人からしたらいかにも遊んでそうだという印象を受けるだろう。
しかし、俺はこの不可解な状況において初めて内心ホッとしていた。
ここでようやく知り合いのお出ましだ。
「よう、愛斗。あのさ、俺らの教室が知らないやつだらけでなぜかアウェイ状態なんだけど、あれどういうことだ?」
俺は一応親友と呼べるくらいには仲の良い友人、成田愛斗に今の状況を話す。
すると、愛斗はまるでアホな子を見るかのように目を細めた。
ちなみに、愛斗は学年で一番頭がアレである。
「は? お前なに言っちゃってくれてんの? 俺ら今年から二年じゃん」
「…………」
返す言葉もないとはまさにこのこと。
盲点というかなんというか、根本的に間違っていたとは思わなかった。
もはや『やっちゃったテヘッ』じゃ済まないだろうレベルの大失態。
顔が一気に熱くなるのが分かる。
「あっ、もしかして夏樹、ガチでもう一回一年やろうとしたわけ?」
「いやぁぁぁあああーー!!」
からかうネタを見つけ目を妖しく光らせる愛斗。
気づけば俺は恥じらいもなく叫んでいた。
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