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「その通りだ。だから僕だけはみんなのことを名前で呼んだ。それが対等な関係だと思ったからだ」
小学生からそんなことまで考えてるなんて。
賢いけど変なやつだ。
俺は立ち上がり、ぐっと伸びをする。
ずっと同じ姿勢で座っていたせいで体のあちこちが痛くて仕方がない。
「さて、と。今日はなんかごめんな。関係のない話で結菜に嫌な思いをさせちゃって」
「何を言ってるんだ。夏樹も樹里も、僕のかけがえのない友達だ。関係ないなんて、気を遣ってでも言わないでくれ」
「そっか……サンキューな」
結菜の言葉で心がいくらか軽くなった気がする。
女の子に慰められるなんて、男として俺は情けないやつだな。
「どういたしまして」
と、ここで。
慰めるような口調から一転、結菜の声が真剣になる。
「それよりも、僕は君のことが心配だ。夏樹、自分を偽らないで正直になってくれ。無理していないか?」
「…………」
変な気分だ。
気を抜けばまた泣きそうなのに、なぜか笑顔が出てしまう。
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