樹里の秘密(後)

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 俺は結菜と向き合う。  噴水に腰掛ける彼女はまっすぐ俺の視線を受けとめ、真剣に心配してくれているのがわかる。  …………ははっ。  頼れる人がいる俺は本当に幸せなやつだ。  見栄張って余計な心配を掛けるくらいなら、思いの丈をこの親友殿に聞いてもらうことにしよう。  堪えきれずに泣き出して、これ以上ない恥をさらす前に。 「はあ……結菜は鈍いなー」  微妙に会話に成らないような返答に、結菜は首を傾げる。 「鈍い? 僕が?」 「そうだよ。だって、俺を見ればわかるだろ? もうボロボロ。大好きな女の子を失って、途方に暮れてるところだよ」    白状する。  認めたくないけれど、俺は未練がましい男みたいだ。  樹里に謝って、それで関係を終わらせようとしていたにもかかわらず、やっぱり駄目だった。  だって樹里のことが好きなんだから。  どうしようもなく。  彼女のいない日々なんて今さら受け入れられるわけがない。  でも、それと同時に。  これから先、なにをどうしていいのか俺にはわからない。  恋人という関係を続けていいのか。  樹里のそばにいてもいいのか。  そもそも、樹里に許してもらう権利があるのか。  真っ暗闇に一人ポツンと立ち尽くしている気持ちだ。  どこにも進めない。  不安で仕方がない。
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