樹里の秘密(後)

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 心の内はさらした。  今度は結菜の答える番だ。  でも、そんなこと言われても結菜も困るよなあ。  だって久しぶりに会った友達にいきなり『彼女に未練があります。どうしたらいいですか?』なんて。  俺だったら適当に濁すな。  迂闊なことなんて言えない。  他人の主観だらけの意見なんて気安めどころか、現実をより悲観的にするだけだから  俺だったら、まず言えない。  でも、結菜は違った。  誤魔化すことなく。  まっすぐ俺の言葉を受け止め、まっすぐな言葉をくれた。  それは、とても簡単なことだった。 「だったら、諦めなければいい」  凛とした響きに、俺は目を丸くする。 「え……?」  目の前にいる男前な美少女は困惑する俺をよそに、淡々と話を続ける。 「なんで君が樹里を諦める必要がある。だって君は樹里のことが好きなんだろう? なのに、どうして自分の気持ちに嘘をつく。それはおかしいじゃないか」  結菜らしい、迷いのない力強い言葉だ。  俺は一瞬勇気をもらった気がした。  結菜の言っていることは、多分正しい。  でも、それを受け入れられるかどうかはまた別だ。
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