『思い』と『想い』の狭間で

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 黙々と。  優しい日差しの下、俺は何食わぬ顔で歩いていた。  何もなかったわけないのに、平然を装っていかにも普通に。  樹里との関係に曖昧な終止符を打ってから数日が経ち。  今日は金曜日。  当然、学生の俺は学生としての本分を全うしなければならず、学校に向かっている。  一人で。  隣に彼女の姿はない。  元々一人で登校していたんだから何てことはない。  昔に戻っただけだ。  それはわかっている。  フィクションものみたく決してウキウキな登校ではないけれど、だからといって不満があるわけでもない。  至って普通。  大概の学生たちはこの孤独を味わってんだから、俺だって文句は言うまい。 『これだからゆとりは』とかひとまとめで貶されたくないからな。  …………でも。  大事なものを失ったにもかかわらず、平然と日々に溶け込もうとしてる自分が情けない。  樹里のことが好き。愛してる。  誰よりもそう思っていたのに、その想いはこんなに安っぽかったんだと自分に失望すら覚える。  そして、そういった失望にも数日の内に慣れ、今は何とも思わなくなった。  今日は、そんな金曜日である。
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