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帰宅。
俺は帰るなり自分の部屋に直行し、真っ先にベッドに飛び込んだ。
何をするでもなくぼんやりと真っ白な天井を眺める。
「はぁ……」
やることは決まった。
けれど依然として、そこにたどり着くための道は見つからない。
なんて切り出せばいい?
なんて謝ればいい?
なんてこの気持ちを伝えればいい?
思考はさっきから同じところをグルグルと周るが、いまだに答は出ない。
そうしている内に窓の外はすっかり暗くなり、俺は一度起き上がって部屋の明かりをつける。
すると、
「たっだいま~」
と。
子供のように元気なくせに、妙に大人の色気の入り混じった女性の声が帰宅を告げる。
どうやら姉様のお帰りらしい。
ドタドタと騒々しい足音が階段をかけ上り、すぐ隣の部屋に消えていく。
かと思えば少ししてまた足音がものすごい勢いで下の階に遠ざかっていく。
ったく、俺の姉はなんでこう子供っぽいんだろうか。
とても社会人とは思えない。一応の色っぽい外見が台無しだ。
まあ、仮に外見に相応しい作法を身に付けたところで、姉に催すような劣情なんてほとんど持ち合わせていないけどな。
裸はさすが生物的に反応する。
普段からバスタオルや下着姿をこれでもかと見せつけてくる痴女の色気なんて、俺には通用しない。
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