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俺は常識を教えて姉が恥をかかないようにという善意から注意したわけだが、当の綾香はなぜかがっかりしていた。
「えー。お姉ちゃんタイムだよ? 肌を露出しなくてどうするのよ」
「お姉ちゃんタイムがそもそも初情報だよ! 俺はいつから姉の体目当てのシスコン野郎になったんだ!?」
「えーとね、あれは夏樹が中学生の時だったかな。顔を洗おうと洗面所に行ったらなんと! あたしが脱いだパンツを夏樹が夢中でクンカクンカしてたのよ。ああ思春期はお姉ちゃんすらもおかずなのね、ってあたしはその時、弟が犯罪に手を染める前に自分の身を捧げる覚悟をしたのよ」
「覚悟の意味を気持ちいいくらいはき違えてるよ! つーかいつ俺がおまえのパンツに欲情したよ! とっと服着てこいっ!」
そして二度と部屋から出てくるな。
俺が喚き散らすと、綾香は不満そうな顔で部屋を出ていく。
しかし、一分もしない内に戻ってきた。
なぜかぶかぶかの見るからに男物のワイシャツだけを装着していた。
ボタンは三つ目まで開き、露出を抑えたのにさらに変態性が増しているという本末転倒のいい例だった。
おまけに下着は一切身につけていないので、バスタオルよりも見えそうできつい。
そしてなぜか綾香はやられた、と妙に清々しい顔している。
「夏樹は衣服にエロを求める上級者だったのね。あたしとしたことが。勉強不足だったわ」
「義務教育からやり直してこいっ!」
キャー、と嬉しそうにまた部屋を出ていく綾香だった。
久しぶりにツッコミを入れたけど、少なくとも腕は鈍っていないようだ。
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