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にしても、なんなんだよあの姉は。
親父のワイシャツをわざわざ無断借用するとか、どれだけ笑いに飢えてるんだよ。
俺のツッコミがデフォルト化した原因は、まず間違いなく綾香のせいだ。
小さい頃からの姉弟のコミュニケーションに、まさかこんな狙いがあったとは。
お姉ちゃんは伊達じゃない。
しばらくして、懲りもせず綾香が新たなボケ要素を装備してやって来た。
と思ったけれど、今度は無地のシャツに短パンという割りとまとまな服で露出面以外にツッコむ箇所はなかった。
これで注意したら綾香の着る服がなくなりそうなので無視をすることに。
「夏樹は全くもう。お姉ちゃんの前でくらいデレてくれてもいいのに。あたし、包容力半端じゃないんだよ?」
「……知ってるよ。だから俺がダメな姉に代わってしっかりしないといけないんだ」
「カッコいい~っ! 夏樹はつまり美しいプリンセスを守る優しいナイトなんだね!」
「いや。恥知らずで世間知らずな痴女である姉に、世の中の道理を教える世界一不幸な弟だよ」
「あれ? なんか可哀想かも」
「気づいたなら反省しろ! ていうか、シーズンは秋だよ! 短パンから伸びる足ははさすがに目の毒だよ!」
いや~ん、と。
綾香は今さら剥き出しの足を両手で隠し出した。
でも、何にも隠れていなかった。
ていうか、ツッコまれて満足気な表情だった。
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