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「で、結局のところは古塚が依頼人なのかい?」
「そそ、そうだ…あいつ、ああ、あんたのボスが組織のう、裏切り者だって━━━━」
「だから殺せって?」
「ああ…頼む!だ、誰にも言わねえ!だから命は━━━━」
ダンッ━━━━ゲイルのジェリコが瞬き、男は頭に銃弾を受けて息絶えた。
「決まりだな。古塚は殺す。」
「そうなるよねえ。とりあえずボスに報告しよっか。」
いかにも面倒だと言わんばかりの態度をとるゲイルは無視し、バーナードは剛の番号を探してダイヤルした。
(━━━━俺だ。)
「ボス、例の男が喋りました。古塚はクロです。」
その言葉に、剛は驚いた様子を見せない。
(だろうな。まあ思ってた通りってな感じだろ。)
「では何故あやつを日本へと行かせたのですか?それでは逃がしたも同然ではないかと思うのですが。」
(あの時点では確かな情報がなかっただろ?それなのに身内を疑うのは良くねえ。)
そう言われると、バーナードには反論の余地はない。
それをわかっているからか、バーナードが口を開く前に剛は言った。
(バーナード、ちょっと面倒ごとを頼まれてくれるか?)
「勿論です。何でしょうか。」
(こうなったのは、部下をまとめきれなかった俺の責任だ。だが俺はここを離れらんねえ…俺の言いたい事はわかるな?)
「…日本、ですね?」
ゲイルがバーナードの表情を窺った。
(そうだ。ゲイルと日本に行ってくれ。)
「しかしそれではボスのガードは━━━━」
(警護はいっぱいいるし、古塚は日本だ。問題ない。それにこれはお前にしか頼めん。)
「…御意。」
返事もなく通話は切れ、それを悟ったゲイルが言った。
「出張かい?」
「そうだ。まず日本にいる叔父貴に連絡して、奴の足取りを辿る。お前も一緒に来い。」
「せっかくの海外旅行が美女じゃなくてお前かぁ…しかも飛行機嫌いなんだよなぁ、俺。」
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