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襲撃する度に銃弾をその身に受け、肉体は傷つきながらも人間離れした機動性を保ち、次々と敵を狩る━━━━まさに化け物だ。
腕や足、当たる箇所や当たった弾丸によっては常人でも有り得ない話ではないかも知れない。しかし多数の銃創の痛みに耐えながら暴れるには、心身共に相当なタフネスが必要になってくるもの。
「うちの組織ばかりを狙うプロの殺し屋か…厄介だな。」
「このような殺し屋は見たことがありませんが、ただの素人ではないでしょう。常人離れしたタフネスに、マチェット一本で襲撃してくる異様さ━━━━ただの素人ならこんな真似はしません。」
「マチェットだけで喧嘩売ってきたのか!?」
驚いたのはゲイルだ。
「ええ、電力を切ってマチェットで襲ってくるのが奴の手口です。」
…ますます不気味な奴だ、とバーナードは思った。
「話を要約すると、古塚は最近うちの組織を襲撃してる化け物に運悪く狙われて殺された━━━━そういうことか。」
「運悪く、というのは違うかも知れません。奴は釧路を中心に活動していましたが、今回に限っては…つまり、古塚さんがいらっしゃった時に限ってはわざわざ札幌まで来ていた━━━━偶然ではないような気がします。」
その可能性は十分にある。
バーナードは納得し、返した。
「一個人にしては情報収集能力は高いな。古塚の来日は極秘だった。」
「奴の裏に何らかの組織が絡んでる、か?」
ゲイルの言葉に頷き、バーナードは続ける。
「まずは情報収集だ。襲撃を受けた時の詳細、こちらと敵対する組織の動向、それに武器も調達する。私の"アトラス"やお前のジェリコが届くにはまだ時間がかかるからな。」
━━━━そう。空港のセキュリティーを抜ける為、銃や日本刀などは全て別ルートで日本に運ぶ手筈になっているのだ。
今何かあれば、肉弾戦以外に選択肢はない。
「わかりました。全てこちらでご用意します。」
言われると、気だるそうにゲイルが言った。
「何かあれだな。長丁場になりそうだ。」
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