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「殺された…そうか…親友はマフィアに関わってたんだ。そして殺された━━━━あんたの婚約者も殺されて、濡れ衣を着せられたんだろ?見えたよ。」
すると、頭の中で声が響く。
(やめろ!俺の中を覗くな!)
「覗いてなんかいないよ。聞こえるんだ…あんたの叫び声が。悔しいって…無念だったんだよな。」
不意に左手が勝手に動き、コインロッカーの扉が閉じられた。
(テメェに何がわかる!?ガキの頃から何一つ不自由なく育てられた温室育ちが!俺はな、地獄みたいな中で運良く生き延びて、苦労してやっとできた家族を殺されたんだ!何も知らない世間知らずに同情なんかされてたまるかよ!)
「だから、復讐の為にここ(コインロッカー)に全てを封印してから戦おうとしたんだよな。綺麗だった思い出や自分の人間らしさを全部しまい込みたかったんだろ。」
ドクンッ━━━━一際大きな動悸。
「本当は優しい人なんだね。この女の人もそんな━━━━」
(やめろ!それ以上過去を掘り出すな!俺は奴等を…『天照』を潰すまでは全てを捨てて戦うと決めたんだ…昔の事は思い出させないでくれ…。)
床に散乱した写真立てから3人が写った写真を拾い上げ、満はそれを見ながら微笑した。
「優しそうだもんな、あんた。民間警察になったのも復讐の為じゃないみたいだね。」
(釧路があの大地震に襲われた後、釧路は地獄だった。俺はまだ子供で、マフィアによる集団誘拐や略奪から逃げ延びてなんとか生き長らえた…その時助けてくれたのが民間警察官で俺の親友の父さんだった。)
満は頭の中で飛び交う映像を整理しながら、内心の声に耳を傾け続ける。
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