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(それから街も秩序を取り戻して俺は民間警察官になった…それから彼女に出会って、1年と経たずに俺達は婚約した。親友も祝福してくれた━━━━なのに、親友は『天照』と関わって殺された。)
「『関わって』?」
(詳しくはわからない…調べてる途中で彼女まで殺されて、俺は殺人罪で追われる身になった…2人の復讐が終わるまで戦い続けると誓って、コインロッカーに全部隠した。)
そして捕まって死刑執行…臓器は父さんが買って移植手術をした━━━━満の中で今までの経緯が全て繋がった。
それと同時に、今までただの敵として見ていた自分の中の存在が…とても人間らしく見えていた。彼はただの殺戮者じゃない━━━━大切な人を失って復讐に視野を塞がれていただけの1人の人間なのだ。
「なあ、あんたの復讐はどこまで続くんだ?いつになれば終わる?」
(2人を殺した奴を殺すまでだ。それだけが俺にできる弔いだ。)
「でもあんたが誰かを殺せば今度はあんたが復讐される側になるだろ。あんたが死んだら誰が2人を供養するんだよ。」
(じゃあどうすれと言うんだ!?どうやって2人を殺した奴等を裁く!?)
━━━━わからなかった。
殺して殺されて…連鎖を断ち切りつつ悪を裁く術など容易に思いつくものではない。
胸の奥まで流れ込んでくる彼…史彦の感情を知る満には、全てを諦めて消えろ━━━━とも言えなかった。
「…わかった。この体、もう少し貸すよ━━━━でもいくつか条件がある。」
(条件?)
「必ず生き延びてほしい。せっかく生き長らえたんだから…それと、家族には手を出さないでくれ。」
態度の急変に困惑したのか、史彦の返答は遅れてきた。
(…わかった)
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