Passing~すれ違い

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「ニューヨークに帰らなかったのか!?何を考えている!」 「大きい声出すなよ。見つかったらマズいんだろ?」 ドアの向こうからはセキュリティーの連中らしい声が一般人を誘導している声も聞こえる━━━━珍しくゲイルに諭されたバーナードは溜め息を吐く。 「そりゃダチのお前にまで嘘ついたのは悪いと思ってるよ…でも俺はあの子を助けたいんだ。」 「ゲイル、何度も言うがあの子を助けても━━━━」 「わかってる。ジェシカは戻ってこない。けどあの子はまだ生きてる。だからこそあの子を今、助けてあげたいんだ。」 「気持ちはわかるが、これは組織の意向だ。"ファンピール"と竹田は消す。一ノ瀬一家の生死は問題じゃない。」 刹那、ゲイルの顔つきは険しくなる。 「組織に迷惑はかけねぇ。全部うまくまとめる。」 「事はそこまで単純ではない。考えてみろ、竹田は一ノ瀬じゃない。解離性同一性障害の奴の対処など知らぬだろう。」 「やってみなきゃわかんねぇよ。お前はいつもそうだ。冷静で━━━━」 ゴツゴツッ━━━━ドアに近付く複数の足音…バーナード達に気付いてはいないのか、ゆっくりとドアの前を通過しようとしている。 「今はまずここを出るのが先決か…お前はどこから入った?」 「海からだけど、船はもう行っちまったよ。」ゲイルのルートならば或いは、とも思ったのだが…船での脱出も険しいらしい。 そもそも何故電力供給が遮断されなかったのだろうか。セキュリティーシステムと電力供給はソフィアがしっかりやってくれていたはずだ。 バーナードは携帯電話を出した。ダイヤルしたナンバーはもちろんソフィアの番号だ。
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