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バーナードは言った。
「行くぞ。俺は正面、お前は裏だ。」
「オーケィ、相棒。よくわかんねえけど途中参加は大歓迎さ。」
奴がくぐった正面入口に足を踏み入れ、バーナードは建物内に満ちた殺気に毛を逆立てた。
少年達…いや、違う。あの男の殺気なのか━━━━思考を巡らせる間にも怒号と銃声が届き、硝煙の残り香がバーナードの五感を研ぎ澄ます。
そして右手にデザートイーグルを、左手には鞘から抜き出した太刀を握り締めて駆け出した。
刹那、連鎖的な銃声が鳴ってバーナードがいた場所が煙を上げる。
「撃て撃てェ!殺せェ!」
サブマシンガンらしい音が2つに、ハンドガンと思われる単発の音が1つ━━━━聞き分けると、そこからは早い。
デザートイーグルで牽制するとすかさず間合いを詰め、気配がする位置に目星をつけて壁越しに太刀を刺した。
まずは1人━━━━くぐもった声が届いて仕留めたのを知ると、太刀を抜いて更に壁越しに撃ち込み…それで事は足りた。
「ひ、ひいッ!」
声がした方には戦意を失った後ろ姿━━━━バーナードは容赦なくデザートイーグルを放ち、だだっ広いホールを駆け出した。
かつてはレセプションであっただろうカウンターの前を走り抜けて、一旦柱の影に身を隠して奥を覗き込む…転がっている骸にはどれも銃創があり、その着弾点から察するに奴の射撃は的確なものだと言えそうだ。
的確な射撃…奴の正体は訓練を受けた民間警察官か、あるいは名の知れたヒットマンだろうか━━━━だとしたらこんな非効率的なやり方をするか?
疑問符を浮かべながらも奴を追って2階に上がると、続いてゲイルも階段を、音もなく上ってきた。
「スマン。奴は?」
「ああ、あそこだ。」
ロクに実戦経験もないだろう少年達は殆ど片付けられたのか、得体の知れない『彼』は負傷しながらも生き長らえている少年の1人の胸倉を掴みながら問い掛ける。
「お前等、『天照』なのか?」
「そんなの知らねえ!か、金か!?それともヤクか!?何が欲しいんだよ!?」
「もう1度だけ訊こう…お前等は『天照』なのか?」
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