Prologue~序章

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「ガキかどうかくらい俺達でもわかりますよ。ただの民間警察官なら俺だってそこまで不思議に思いませんし。」 対し、恭一は鼻で笑った。 「その勘が外れてなきゃいいけどな━━━━まあお前等を疑ってるわけじゃねぇんだ。そこんとこは勘違いしないでくれ。」 「別に勘違いなんかしちゃいませんがね。でも、疑ってないならあのガキ共との繋がりくらい教えてくれても良かったんじゃないですかい?」 「…繋がり、だと?」 恭一の反論が遅れ、バーナードが遮るより早くゲイルは言った。 「ガキ共が正体不明の野郎に問い詰められてたのを聞いたんですよ━━━━奴等、うちの組織を通してヤクをさばいてた下っ端だそうですね…何で消したんです?」 恭一はまたも鼻で笑い、眉も動かさずに答える。 「知ってどうする?警察でも呼ぶか?」 「不愉快に思われたんなら謝りますが、疑問だったんですよ。何で詳細を教えてくれなかったのかって。バーナードだって気にしてたんですから。」 恭一の視線はバーナードに移り、とっさにバーナードは言った。 「無論、私は上級幹部でもなければ指揮官でもありません。しかしながら、信用して下さっているのなら出来る限り、情報は細かく教えていただけませんか?」 言われた恭一は、頭を掻いて舌打ちした。 「言っただろ?『お前等を疑ってるわけじゃねぇんだ』ってよ。でも、これから殺す奴等の事なんか知るモンじゃねえよ。知れば雑念が増えるだけだ。ザコなら尚更、な。」 雑念━━━━その言葉の示す意味を、バーナードは考えた。 「…情けをかける、と言うことですか?」 「そうは言わねえ。だが、殺す相手を知れば知るほど、そいつと銃を向け合った時には判断が鈍るモンだ━━━━基本的にはな。」 「しかし仕事は別です。状況によっては、詳しい情報があれば標的の行動パターンや勢力などが把握できます。」 「なるほどな…わかった。以後気をつける。それでいいな?」 「お願いします。」 一応は納得して見せたバーナードだったが、バーナード以上にゲイルが腑に落ちない顔をしていた。 しかし2人はそれ以上追及できなかった━━━━追及したところで何かが得られるとは思えなかったからだ。 そんな2人に、恭一は言う。 「あのガキ共は売上をごまかしたから消したのさ。いらない奴は捨てないと━━━━敵を増やそうが、それが一番良いやり方なのさ。偽善的に振る舞って損するよりよっぽどマシだ。」
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