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「オ前等…『天照』カ?」
訊かれ、バーナードの中で蠢いていた可能性は確証に変わった。
バーナードは返す。
「貴様、何者━━━━」
刹那、奴は動いた。
黄色のヤッケから抜き出されたマチェットは後退したバーナードの数ミリ手前で風を切り、直後に間合いを詰めたゲイルが懐に入って肘打ちを見舞った。
「クソッ!言わんこっちゃない!」
「走るぞ!ここじゃマズい!」
ゲイルに突き飛ばされた奴が起きあがる前に、2人は踵を返して駆け出した。
どうにかして奴を片付けなければ、事務所にもホテルにも行けない。
「どうすんだ!?街中じゃあ人気のないトコなんかないぜ!?」
人混みをすり抜けながら階段を駆け上がり、そこでバーナードはゲイルの肩を掴んだ。
「あっちだ!行くぞ!」
バーナードが見つけたのは改装工事中の区域━━━━工事説明の看板の隣り、ブルーシートで覆われた入口に突入した。
空店舗が並び、停止したエスカレーターや壁際に組まれた足場はまるで別の場所の様な印象だ。
「おい、ここは関係者以外━━━━」
黄色いヘルメットを被った男はセリフの途中で何者かに吹き飛ばされ、足場の鉄パイプに頭を強打すると動かなくなってしまった。
「安全第一が聞いて呆れるな!」
ゲイルが走りながらボヤき、異常に気付いて騒ぎ出した工事関係者を気にしながら、バーナードは物陰に隠れてデザートイーグルに手をかける。すかさずゲイルもそれに合わせてエスカレーターを素早く駆け上がり、黄色いヤッケを挟み撃つ準備を整えた。
ここで仕留める━━━━腹を括った矢先、奴はちょうど2人の射線上で立ち止まる。
広いとは言え屋内。
銃声は一瞬にフロアに乱れ飛び、ヤッケに牙を剥いた鉛弾は━━━━空を切ってから壁に飲み込まれただけ。
外した━━━━それを認識したのは、ヤッケが一足で数メートルもの高さを跳び、天井を蹴って急接近してきた瞬間だった。
退いてマチェットをかわすと至近距離で銃弾を見舞ったが、目の前にいたはずのヤッケはいつの間にかバーナードの背後へと立ち回っていた。
「やらせるかよ!」
バンバンッ━━━━ジェリコのダブルタップはヤッケを仕留め損ねたが、バーナードはその隙に間合いを確保すると
レイジングブルを抜き出して引き金に指をかける。
ドンッ━━━━デザートイーグル以上に空気を震わせた弾はヤッケに当たらず、振り上げられたマチェットが眼前に迫ってきていた。
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