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「そいつぁわかりますがねえ…あんだけ駆けずり回ってわかったのがロシアンマフィアとの噂くらいだ。あとは釧路に行って調べるしかない。」
彼はそう言ってから、恭一を見て付け加えた。
「釧路まではゴメンですぜ?俺はフリーの情報屋だ。」
「わかってる。そこまで期待しちゃいねえさ━━━━まずは奴がどこの野郎なのかってのを調べてみるか。元々釧路にいた奴なのか、それともロシアかどっかから来たのかよ。」
もし奴が国外から来たなら、ましてや裏ルートからの密入国ならば方法はかなり限定される。
すると、情報屋はカップを空にして立ち上がった。
「釧路の仲間に訊いてはみますよ。その代わり、料金は上乗せしますぜ?」
「抜け目ねえ野郎だな━━━━そういえば、お前は知ってるよな?うちの2人組。」
話題を切り替えても、情報屋はしっかりと話についてきた。
「もちろんでさあダンナ。俺の仕事は『情報屋』だ。わざわざニューヨークから何をしに来たのかまではわかりませんがね。」
「なに、ちょっとした掃除さ…その2人の情報、どれくらいの人間が知ってると思う?」
その質問は予想していなかったのか、情報屋は腕を組んで考えた。「そうですなあ…知ってる組織はいくつかあるんでないかと。幹部が殺されたって襲撃事件の話だってけっこう広まってますし。」
━━━━つまり、バーナード達がどの組織の人間か知られているという事…。
警察はともかく、民間警察官が嗅ぎ付けたら厄介だ。
恭一は頭を掻いて溜め息を吐く。
「やれやれ、どうしてこんなんになっちまうかねえ。」
「アングラじゃあ人に恨まれるのが常でしょう。今更珍しくもない…それじゃ、俺はこれで。」
席を立って店を後にした情報屋をよそに、恭一は冷めたコーヒーを飲みながら思った。
どうして今のこの時期に襲撃を受けたのか…根本的な原因と敵の正体が全く掴めないのが何より脅威だった。
こちらが消えれば他の奴等が得をする。簡単な引き算だ。
しかし今、このタイミングでそれを実行に移したのは何故なのか━━━━それさえわかれば敵の正体も見えるはずなのだ。
まずは情報屋の情報待ち。あとはイワン共の動きを独自に探ってみるしかない。様子を見るために必要ならば、少しばかり蜂の巣をつついてみるのもあり、か。
ああ、メンドくせえ━━━━恭一は頭を掻いて立ち上がると、携帯電話を出してダイヤルした。
「よう、"トンビ"を出せ。」
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