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この裏カジノの歴史は古く、今から何十年も前からロシア系組織の連合体が仕切ってきた。見ての通り、所属や老若男女を問わずに客が出入りしている。表では警官や検事などの堅苦しい職業の者までも、ここに夢を見てやってくる。
今までに何度か訪れた摘発の危機は、賄賂や事前の情報収集でかわしてきた。金を稼げるかわりに、方法は違えどここを守る━━━━ここに来る人間の誰もがそれを心得ている。
そんな店内の奥、いくつかの退路が確保されたVIP専用エリアにあるテーブルの1つに面白い面子が揃っていた。
クライムロード…日本国内に暗躍するロシアンマフィアの幹部が顔を揃えてポーカーに興じているのだ。
「…レイズ。」
「何ハッタリかましてんだよ。お前が強気な時はブタって相場が決まってんだ。」
「よく言うぜ。そのハッタリにビビって、ツーペア持ってたくせにワンペア相手に怯んだのは誰だっけ?」
「フルハウスだからって余裕かます奴なら知ってるぜ。」
「てめえ、俺のカード見たな?」
ドサッ━━━━たった1つ、空いていた席に誰かが座った。
誰が座ったか…場違いな格好と潰れた声で作られた笑い声は正体を物語っていた。
「ふ、"ファンピール"…どうして貴様が━━━━」
「野暮ナ質問ハナシダ。楽シソウダナ。俺ニモカード配レヨ…サッサトシロ!」
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