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「そうか。『土産』を使ったか…警察の方には手を打ってある。焦ることはねえ。お前は鑑識の奴とコンタクトを取って仕留めたか確認しろ━━━━1人分多く死体が見つかりゃそれでいい。」
ブツッ━━━━終話ボタンを押して携帯電話を折り畳み、そのタイミングで恭一がいる事務所のドアがノックされた。
「お2人ををお連れしました。」
「おう、ご苦労さん。お前は帰っていいぞ。」
「わかりました。」
ドア越しに部下の言葉が返ってきて、バーナードとゲイルだけが部屋に入ってきた。
「ずっと缶詰めで暇だったろ?何してた?」
「叔父貴の紹介してくれた娼婦を配達(デリバリー)してもらいましたよ。俺はそれで十分満足さ。」
「そりゃ良かった。まあ座んな。」
ソファーに座ると、早速バーナードが訊いてきた。
「どうかしましたか?急に私達をお呼びになって━━━━悪い話ではなさそうですが。」
直感がそう訴えるのか、バーナードの鋭い質問に恭一は答えた。
「わかるか。その通り、良い報せだ…多分だが、1人仕留めたぞ。」
ゲイルが身を乗り出す。
「マジかよ!?あのバケモンを!?」
「いや、まだ何を仕留めたかはわからん。確認中だ。」
様々な感想を思いつくままに口に出すゲイルの一方、バーナードはやはり冷静だ。
「叔父貴、私達のいない間に何をしたんですか?」
怪訝そうな顔の2人に、恭一はソファーの前にあるテーブルに足を投げ出してくつろいだ。
「そうおっかねえツラすんなよ。簡単な話だ。怪しい奴等にフェイクを噛ませたら、予定通りの結果がでた…それだけさ。」
「では、敵が見えたので?」
訊ねられて、恭一は頷いた。
「多分ロシア人じゃねえかなと━━━━ロシア人のオトモダチ連中に、俺があるところで幹部会合をするって言っておいたんだよ。面白いだろ?」
「罠(トラップ)ですか?」
「まあな。ちょっとした土産を置いてきたんだ。我が部下特製の圧力鍋爆弾はなかなか効くぜ?」
圧力鍋爆弾━━━━テロリスト御用達のその残忍な武器の威力はバーナードも知っている様で、しかし煮え切らない複雑な表情をしていた。
「何だ、俺の言う事が信用できねえか?」
「勿論、違います。しかし何を仕留めたかはっきりしない限りは安心できかねます。」
ゲイルとは違って堅苦しい態度のままのバーナードの意見は、だが正論だった。
「まあな。だからお前等を呼んだんだ。」
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