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「頼む!もも、もうげ、限界だ!ひひ、引き上げ、てくれ!」
ハドソン川の岸壁にロープ1本で繋がれたそいつは顎をガタガタ震わせ、かろうじで頭を水面の上に保ちながら言ったのだった。
もう夜の闇に包まれたハドソン川の、しかもこの冬の冷たい川の水に浸けられているのだ。無理もない。
しかも奴は両手を縛られている。足だけで水を掻き、頭を水から出していられるのは大したものだ。
「何だって?聞こえないなあ。」
…捕まえた男を裸にして冷水に浸し、見下して楽しんでいるのはゲイルだ。
「しし、死んじまう!さ、さむ、寒い!」
「まだ1分も経ってないぜ?男のくせに情けないなあ。」
「このく、クソ野郎!さむ、寒いんだよ!」
「仕方ないなあ。じゃあちょっと早いけどサービスしてやるよ。」
ゲイルの手が自らの股間に伸びてズボンのファスナーを開くと、彼は体を震わせた。
━━━━すぐに尿が、湾曲した線を描きながら川に浮く男の頭に注がれていく。
「ほら、温かいだろ?」
尿を頭からかぶっている本人は言葉を返す余裕もなく、バーナードは溜め息を吐いて訊いた。
「こんなやり方でいいのか?消耗し過ぎたら話を聞き出すどころじゃないぞ?」
「何も銃で手足をブチ抜くだけが尋問じゃないんだ。下手に薬使ったり怪我させるよりよっぽど安全で、じわじわ苦しめるには最適な方法だぜ?」
「殺さなければ構わんがな━━━━おい、楽になりたきゃ全部吐きな。ボスを殺す依頼をしたのは誰だ?」
ゲイルが全てを出し切ってズボンのファスナーを閉めると、急に男は勢いを取り戻した。
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