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「ゼロって一体どんな人だったのかな・・・」
ゼノはいつものように畑の整備をしながらぼんやりと考えていた。
ゼノが倒れ込む形で辿り着き、今では故郷と言っても過言では無いほどに馴染んだメルファーと呼ばれる町に段々熱い季節がやってきた。
リグ「よぉ、ゼノ!せいが出るなー」
すっかり友人として馴染んだリグがゼノに声をかけた。
ゼノ「なんだ、またお前かよ・・・ポルクの世話しないと親父に怒られるぞ」
ゼノは少し溜め息混じりに答えた。
ポルクというのは食用の家畜である。
このメルファーの町では特産品とも言える物であるが、育て方で味や肉の硬さが変化しやすいため、リグのような適当なやり方では、まず駄目だろう
今はリグの父親がポルクの世話をしており、味は最高だ。
将来はリグが仕事を継ぐ予定であるため、リグに世話を任せる事もあるがこの調子である。
きっとリグが継いだらすぐ潰れてしまうだろう・・・
リグ「そろそろ休憩なんだろ?俺もなんだ。一緒に休憩しようぜ」
ゼノ「休憩って・・・確かに休憩しようと思ってたけどお前は違うだろ」
リグ「なんだと!俺が普段働いてないような言い方に聞こえるぞ!」
ゼノ「そう言ったんだよ・・・」
ゼノはまた大きな溜め息をついた。
ゼノ「まあいいか、いつもの木陰で休憩するか」
ゼノとリグが休憩する時は決まって畑の近くにある木陰で休むといつの間にか決まっていた。
リグ「あ゛ー!しっかし暑くなったよなぁ!まぁこの時期になると町長んとこの野菜が喰えるからいいんだけどさ」
町長の所の野菜というのは、先程までゼノが世話をしていた野菜である。
記憶の無かったゼノは町長と一緒に暮らし、家族同然だった。
ゼノ「ああ、今年もいい具合に育ってるぜ。まぁ、どっかの誰かさんと違って毎日きちんと世話してるからな。」
リグ「それ誰だよ?」
ゼノ「お前だよ!!」
リグ「俺かぁああ!?」
リグはいつものやり取りなので分かったいたにも関わらず大きなリアクションをいつもする。
そんなやり取りをし、二人でボーッと爽やかな風を感じていた。
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