これがぼくらの始まりで

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 走る。走る。ただひたすら走り続ける。立ち止まる事は有り得ない。何故ならばそれは破滅を意味するのであって。  自らの限界を超えて廊下を疾走する一人の学生。その後ろには異様な雰囲気を醸し出した集団が追い掛けて来る。 「葉月ちゃぁーん!! 僕と愛の千本ノックを!!」 「俺と寝技の稽古をぉぉ!!」 「好きだァァァ!!」  葉月と呼ばれた学生を追い掛ける集団は、野球のユニホームに柔道着、はたまた海パン一丁など様々なユニホームに身を包み、それぞれ好き勝手にいろんな事を叫んで来る。だが彼らに共通するもの、それは血走った眼。我を忘れて一心不乱に葉月へと飛び掛かろうとしてくるのであった。 「嫌ァァァ!!」  飛び掛かって迫り来る変態達を一人、また一人とかわしながら逃げ惑う葉月。その表情は恐怖と嫌悪感で引き攣っている。  だがそんな状況も長くは続かない。葉月の目の前に現れたのは真っ白な壁。  ――つまりは行き止まり。  瞬く間に壁際まで追い詰められ、四方を囲まれてしまう。  
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