これがぼくらの始まりで

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 壁際まで追い詰められ逃げ場を失う葉月。ユニホーム集団が一歩、また一歩と近づく度に背筋に走る悪寒。絶体絶命のピンチを回避するべく頭の中をフル回転させてみるも、どうやら手詰まりの様で。 「さて、観念して貰おうかな葉月ちゃ、うわぁ! な、何だ!?」  一人の男子が今まさに葉月へと掴み掛かろうとした瞬間、視界が真っ白に染まる。 (な、何? これ……煙?)  一斉にむせ込む男子達。煙幕によってその姿は見えないも、咳込む様子が手に取る様に分かる。 「こっちよ、早く!」  そんな中差し出される一本の腕。その声から女性だと分かる。  だが突然の出来事に戸惑う葉月。 「え!? ……あの?」 「良いから早く!!」  そんな葉月の態度に苛立ったのか、声の主は強引に葉月の手を掴むと通路へ向かって走り出そうとする。 (このまま追い詰められるよりは……)  現在の状況を打破する術の無い葉月にとって、その手は救いに間違えない。 「は、はい!」  せめてこの場を逃げ出せるならばと、掴まれた手を力強く握り返す。そして今だむせ込んでいる集団に脇目も振らず、無我夢中で走り出すのであった。  
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