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最後の名前まで見終われば、目がしぱしぱと痛い。
長時間のモニター凝視は、やはり、辛い。
顔を上げれば、たった一人の時想屋の店内。
一矢さんが出て行って、一か月近い。
根性悪の看板ぬいぐるみ黒猫は、いつもと同じで「ワシ、モテモテ~」と、今日もふらふら彷徨っている。
そして、僕がしている事。
仕事の合間を見つけては、スケッチの日付を元に、パソコンの画面とにらめっこ。
千年もの前の日付に、恐怖を覚えないと言ったら、嘘になる。
人間は、そんなに長く生きる事なんて出来ないし、じいさん自身もあくまで人の寿命の中で生きた。
そう。
少しばかり、普通の人よりどこか達観していたけれど。
ただ、自分で視た、自分であろう人の死の間際の映像は、普通の死に方ではなく。
学生時代の歴史の参考書を即行掘り出して調べたあの夜。
一つだけ合致する物事。
最後の戦争と言われる『第三次世界大戦』
参考書を手にしたまま、足が震えて止まらなかった。
あれから、暇を見つけては、ネットでその時代の戦没者名簿を探している。
自分の名前が載っていないか必死になって探しては、見つからず、落胆と安堵を繰り返す。
見つけた瞬間、今までの『夢』は『現実』に変わる。
変わってしまったならば…あの少女は。
昔雨に現われる彼女と同じであろう少女は、一体。
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