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「わっ…」
すみません。
と、
そのたった一言言う時間も与えられず、青年は身体を誰かに思わぬ方向へと引っ張られる。
引っ張っているのは感覚からして、多分ぶつかった男性だ。
振り切れず引っ張られることがしばし続いた。気付けば辺りが恐ろしく暗い。
「…わ…っ…あ、…え?、痛っっ!?」
その刹那、身体を酷く冷たい壁に叩き付けられる。
数人の笑い声。
「な…何するんですか!?貴方達は…誰ですか?」
「いやぁ、お兄ちゃんの所属してる統制機構さんにちょいとばかし恨みがあってねぇ…」
耳障りな声。この空間に耐えきれず青年は吐き気を催しかける。
ふいにビリビリと何かが破れる音。
「な…何…!?」
直にゴツゴツした手が青年の肌に触れた。
そしてその手は【そういうところ】ばかりを触っている。
統制機構に恨みがあると言うものだから暴力を奮われるのだと思っていたが、それはとんだ勘違いらしい。
思わぬ相手の行動に情けない声が口から漏れる。
「いっ、いや…!!イヤです!!止めて…、」
「誰も来ねぇよ、こんなトコ」
続けてははは、と自分をあざ笑う声が聞こえる。青年に触れる手が3つ4つと増える。
必死に身体をばたつかせるが、体を何人かに押さえつけられていて全く動けない。相手が何人いるのかそれさえも分からない中で、
「お願い…、…誰か…あッ…。…誰か助け、…助けて下さい…!!」
いくつかの手がベルトに手をかけられ、いよいよ涙が零れそうになったその瞬間
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