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車を走らせてから10分後くらいにちょっと緊張が和らいだのか、麻美ちゃんが話しかけてきた
「ねぇ由稀菜さん、良樹くんと拓斗くんは?」
「あぁ、さっきの二人ね、あいつらなら1時ごろにベロンベロンになって帰ってったよ」
「えー!私を置いて?」
「まぁ、そうなるね」
「サイッテー!!あいつらのメアド消してやろ」
そういうと麻美ちゃんは鞄から携帯を取り出し、数秒で二人のメアドを消した
「麻美ちゃん」
「ん?」
「こんなに遅くに帰って親は何にも言わないの?」
「…………両親はいないよ、とっくに死んだ」
「えっ…あ、ごめんね」
「全然!気にしないで?」
「じゃ、じゃあお兄さんは怒らないの?可愛い妹が夜遊びしてて」
「お兄ちゃん、ホストだから…帰っても家にいないの」
「そうなんだ…」
自分から話しを切り出したくせに、私はなんだか気まずくなってしまった
その後沈黙が続き、気づけばもう麻美ちゃんの家の前についていた
「送ってくれてありがとう!」
「どういたしまして(笑)それじゃあ、おやすみ」
「あっ、由稀菜さん」
「ん?」
「近いうち家に遊びに行っていい?」
「いいよ(笑)」
「じゃあ今度行くね!おやすみなさい!」
そう言って麻美ちゃんは誰もいない家に静かに戻って行った
麻美ちゃんを家まで送っている間に時刻はどんどん過ぎていき、店をでたのが3時ごろなのに今はもう4時をまわっていた
店の閉店が6時のため、私は一旦クラブSに戻った
――――――……………
―――…………
――………
「おかえりー、どこに行ってたの?店ほったらかして」
私が店の裏口から入ると待ってましたといわんばかりに幸茄さんが仁王立ちして待ち構えていた
「ほったらかしてないよ!ちゃんと真璃にも了承を得た上で店を出たんだよ?」
「ここの店長は私なんだから、私にもちゃんと許可をとってからにしてよね?」
「……はーい」
「"はい"は短く」
「はい」
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