第貳章―感情の名―

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サクッ…。 乾燥した暖かな芝生で出来た道を十四楼様と歩く。 夏の暖かさの所為か、まだほんのりと温もりが残る庭は、なんだかとても胸が切なく…だけどホッとするそんな気持ちにさせる。 私はこっそりと十四楼様を盗み見た。 「……………ん?」 少し間を開けて、私の視線に気づいた十四楼様が私の方に顔を向ける。 私は顔を赤くしてサッと顔を地面に逸らした。 「す、すいません!ジロジロと…」 「いや、別に構わないよ? 君に見つめられるなら私も嬉しく思うから」 その言葉に私はますます顔を赤くする。 「………クスッ、可愛いな」 「…え?」 十四楼様の呟きに私はまだほんのりと赤い顔をそっと上げ、彼を静かに見た。 その時、ふわりと影が落ちる。 優しげに微笑む顔が見えたのも束の間、私は気づけば十四楼様に唇を奪われていた。 混乱する頭の中で私の体は微かに熱くなり、胸も激しく鳴り響いて今にも蒸発してしまいそうだ。 何故彼が私に口づけをしているのかわからない。 でも…今だけはこの甘い時間に身を委ねていたい。 そう思うのは…罪でしょうか? そう私が思った瞬間…ポツ…ポツ…と雨が降りだした。 「…雨が、降ってきたね…おいで、あちらの離れで休もう」 頬を赤らめさせたまま私はそっと頷くと、彼の手をとって共に離れへと向かった。
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