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「なら、好きにすればいいのではなくて?」
「え?」
「あなたが思うように、したいように、生きたいように…柵(しがらみ)に囚われたままではいい判断は出来ないわ」
お嬢様はそう付け加えると、優しく微笑んだ。
「あなたは、あなた…あなた自身のことは、あなた自身で決めればいいのよってこと!さっ、お茶を続けるわよ!」
そしてまたニコニコとお茶を点て始める。
私は、お嬢様がいった言葉に気持ちが軽くなった感じがした。
私は私…自分にとって最善と思うことをする…。
なら私は…どうする?
答えは既に決まっている。
私は、無邪気に笑うお嬢様と向き合うと、感謝の気持ちも含め、自分もまた楽しみながらお茶の時間を過ごした。
夜になり、お嬢様を送り届けた私は、主人である十四楼様の部屋を叩いた。
「どうぞ」
「失礼します」
部屋に入ると、少し手先が震える。
それでも私は真っ直ぐに彼を見た。
「それで?私に何か用事ですか?」
「…来週で屋敷の任が解かれます」
「…そうだね、それで…?何が言いたいの?」
そう目線を向ける十四楼様に私は一息おいて口を開く。
「…私は、あなたやお嬢様のような人のもとに仕えれて、本当に幸せに思いました。ですから…出来ればもっと長くお仕えしていたかったと思いました」
「…わざわざ、そんなことを言いに来たの?別に…任が解けたからといって立ち入りが禁止になるわけではないし、いつでも来ればいい…私のそばでずっと、一人の女性として…」
その言葉に私は首を振る。
「…出来ません、私…この仕事が終われば、遠くに嫁入りすることが正式に決まってしまったので………ですから、もう…」
そこまで口にした時、ガタンッと椅子が倒れる音がし、気づけば私は十四楼様に抱き締められていた。
「じ…十四楼様?」
「…赦さない」
「…え?」
「君が誰かのものになることなど、私が赦さないっ!」
グッと力ずくで私の顎を上げると、激しくて熱い口づけを交わす。
「だ…駄目です、十四楼様!私は…」
「…私は、世界を裏切ってでも、君を愛する…婚約だって解消する…だから、私だけのものになってくれ…っ」
十四楼様の言葉に私は胸が打たれる。
初めて私が愛し恋した人…。
結ばれたなら幸せになれるだろう…けど、でも…
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