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私はそれでも…。
「…今にも泣きそうな、辛そうな顔は…それが叶うことがないと…そう思うからではないのですか?」
十四楼様を突き放し、私は涙を瞳に溜めながら彼を見つめた。
「私は、あなたが…好きです…でも、あなたは、私がそういえば…悲しい顔をして一線を引く…好きなだけではどうにもならないと、知っているのではないのですか?あなたが…誰よりも、一番…」
十四楼様は辛く影を落として押し黙る。
そして、私に静かに背を向けた。
「…そう、だね…」
あなたのためだけに生きれるなら私だって本望だ。
でも、私は誰かを傷つけてまでそうしたくはない。
そう願うから、彼が向けた背から視線をそらした。
「…ごめん、頭の整理がついていなかったみたいだ。辛いことを…君に言わせてしまったね、今日はお互い頭を冷やそう…でも、私は君に告げたことに、嘘や偽りはないよ?…それだけは、覚えてて」
優しく髪を撫で、私を部屋から出す。
閉める間際、彼は悲しそうに顔を歪めた。
「…全てを捨て去る覚悟ができたなら…また話においで、でも無理なら………この話は今日で終わりにした方がいいだろう」
バタン…と扉が閉められる。
私は涙が頬を落ちていくのを止められなかった。
私は…どう生きたいのだろう…?
誰かを傷つけると知っても、修羅の道を通るという覚悟が出来るというのだろうか?
…裏切り、悲しませ、傷を作ることを、躊躇わずに…
私は、悩み悩んで…その日は泣き続けた。
何がしたいのか、何を守りたいのか…。
そして、私は…決意する。
大罪になろうと、悲劇になろうとも…私は、自分に嘘をついて生きたくはない。
だから、私は…全てを捨て去り、裏切る道を選んだ。
例え多くを傷つけても…私は、この短い一生で消える…いとおしき命に恋をしたのだ。
そしてそれを選ぶことに…選んだことに後悔はしない。
だから、どうか…もしこの選択を神が赦さないのであるならば、どうぞ罰は私にと…
一人、深まる宵闇の中で祈っていた。
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