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翌朝、私は目を覚ますと、急いで支度を始めた。
今日から新しい職場で新しい主人の元、新しい仕事をする。
考えているだけで私は胸が弾んだ。
あぁ、楽しみだなぁ。
私は待ちきれないとばかりに屋敷を飛び出すと、十二月三十一日さんの住まう屋敷まで急いていった。
(相も変わらず…大きいお屋敷…)
見上げながらに私は思った。
本当に今日からここが、私の新たな仕事先なんだな…と。
(…って、いけないっ!呆けてる場合じゃなかった!)
私ははっと我に変えると、門を叩いた。
コンコン…と叩いてしばらくすると、一人の老婆が現れた。
「誰ですかんねぇ…?」
「あ、始めまして、本日付でここで使用人として働く、宮前羅刹といいます。どうぞよろしくお願いします」
出来るだけ落ち着いたペースで応答し、私は頭を下げた。
すると、老婆はふんっと鼻を鳴らした。
「まぁ…った、ぼっちゃんの気まぐれかいのぅ。…一体いつになったらやめてくださるのか…はぁ。そんで、娘さん?あんたは、一体いくらでぼっちゃんに買われたかいのぅ?」
「はぁ?」
「いくらで雇われたと聞いとんのやぁ、さっさと答えんかい!トロくさいやっちゃっのぉ」
なんだか、言い方が刺々しく、嫌な感じ…。
でも、そんなのちっとも気にならない。
気にしてたら時間が無駄だ。
私はなんとか楽観的に考え、老婆に向かい笑みを浮かべた。
「私は、確かにここの十二月三十一日十四楼さんに雇われましたが、一切の報酬は受けてません」
「…あぁ?報酬はない…じゃとぉ?」
「はいっ!私は、あの人に報酬なく雇うと契約しています。つきましては、一切の雇われ金は頂くことはございません」
私は真剣な顔で言うと、老婆は目を開かせ驚愕に似た顔を見せると、すぐまたスッと冷たく目を細めた。
「ふん…なんがあってそんだらこったぁな取引なっとぉか知らんがのぉ。あんたが働くこたぁ認めとらんさきにぃ…やるなら認められるんよぉ、まぁ…精々頑張るこっちゃねぇ…」
と残し、私から背を向けた。
「ほんだら…行くさかいのぉ、着いてきたらぁええがや。まぁ、途中ではぐれたとて知らんがのぉ。ククッ…こっちゃぁで?」
老婆はそういうとスタスタと歩き出していった。
私はそれにはぐれないように、急いで老婆についていった。
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