good-bye..

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――――― 「アキハラスポーツはまたいつか行くとして、とりあえず夕飯の支度ね。」 松坂の母親である百合子は切り替えの早い、さっぱりとした明るい性格だ。 その遺伝子を存分に引き継いだのが息子の秀輔である。 むしろ倍になって出てきたくらいだ。 松坂の父親は松坂が小さい頃に他界していた。 そのためか小さい頃からひたすら野球に打ち込み、ついに全国中学の頂点に立ったのだ。 優勝の瞬間、 最後の球が捕手のミットに入った時は今でも忘れられない。 もちろんその後にマウンドで抱き合う息子の姿も、だ。 百合子のカバンの中にはその後撮った写真がいつも入れてあって、御守り代わりにしている。 「スーパーはこっちね。」 ―――――― それは曲がり角を曲がった瞬間に起こった。 明らかに不自然に蛇行して走るバイク。 それは、神様のいたずらだろうか。 「っ!!」 まるで決められたことのように、 そのバイクは曲がったばかりの百合子に突っ込んだ。 ガッシャーン!!! そこに残ったのはその大きな音と、その後にバイクが滑ってゆく音のみ。 周りの人々はただ呆然とそれを見ているだけだった。 ――――――――
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