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「何‥か?」
母は出来れば誰とも話したくなかった。
しかし、次の言葉に驚愕した。
「浩輔さんを殺害した永瀬誠を捕まえました。」
突然の事だったのでよく理解できなかった。
「‥えっ!?」
松坂浩輔を殺した永瀬誠という男は5年ほど前から何度か殺人事件を起こし、その度に逃げ回っていた。
世間の人々はもう警察じゃダメだと絶望していた。
「そんな‥」
驚きと悔しさが一気に上ってくるのを感じた。
「5年間集め続けた情報がやっと役に立ちました。」
「ありがとうございます‥」
お礼は言うものの、百合子は正直そんな事はどうでもよかった。
だってもう浩輔はいないのだから。
今はもう天国に行ってしまったのだから。
「浩輔さんを守ることができなくて本当にすみませんでした!!」
突然佐倉は頭を地面につけた。
「そんな!やめてく‥っ!?」
母は佐倉を見てつい驚き、言葉を失った。
この人…右腕がない‥
「もう私の命がなくなるだけじゃ足りません!どんな事でもします!」
佐倉は必死に頭をさげた。
「顔あげてください。」
百合子は言った。
「いいえ!どうかこのままで‥」
母親は諦めたように言った。
「じゃあ1つお願いしていいですか?」
「はい‥なんでも」
「さっき息子が出て行っちゃって‥探すの手伝ってくれません?」
「もちろんです!しかしもう夜も遅いので私が1人で行ってきます。名前は‥秀輔君ですね。」
「‥それは出来ません。出て行ってしまったのは私が原因なんです。だから私も探します。」
佐倉は静かに頷いた。
「‥では急ぎましょう。」
2人はそれぞれ歩き始めた。
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