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2時間近く経った頃‥
佐倉がみつけた。
松坂家から3キロほど離れた公園にいた。
長年ペンキが塗り替えられてないような土管の中にその姿はあった。
「秀輔君‥だよね?」
松坂はしばらく黙りこんで、言った。
「‥おじちゃん誰。」
「警察官だよ。ずーっとあっちの方で働いてるんだ。」
佐倉は左手で南の方を指差し、毒のない笑顔を見せた。その笑顔で少し心を許したのか、
「ナガセって奴知ってる?」
突然の質問に佐倉は戸惑った。
「知っているよ。今は署にいるんだ。」
「‥捕まえたの!?」
「あぁ。でもおじちゃん右腕なくなっちゃった。痛かったなぁ‥」
「えっ‥な、なんで‥」
秀輔は佐倉の右腕を見ると急に大声で泣き始めた。
「泣くんじゃない。おじちゃんは大丈夫だから。強い男は泣かないんだよ。」
そういうとまたニッコリと笑った。
佐倉の笑顔は人をひきつけるような‥なんというか、特殊だった。
そう、例えるならまるで向日葵のような笑顔だった。
「う‥う、ん‥」
秀輔も笑った。
「でも、なんでそこまでして捕まえなきゃならないの?」
「それはね‥君のその笑顔がなくなっちゃったからだよ。」
当時6歳の秀輔には意味が分からなかった。
「ちょっとついて来なさい。いいもの見せてあげるよ。」
しばらく歩いた後、ある場所に着いた。
秀輔は生まれてからずっとここに住んでいたが、こんなところは知らなかった。
そこは公園から歩いてわずか10分にあった‥
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