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『やめて。お願い……』
扉のすぐ外で、のど笛を鳴らすような荒く苦しい女の声がする。その直後に再び悲鳴。扉を掻きむしるような音。悲鳴はその後も三度ほど繰り返された。
「瑞樹。服を着よう」
「いやよ。恐いわ」
義人は急いで衣服を身につけると、瑞樹の下着を取って目の前に差し出した。
「服を着よう。そのままでは逃げることもできない」
義人は青白く硬直した瑞樹の唇に優しくキスをすると耳元で囁いた。
「君はとても素敵だ。またぜひ会ってみたい。だから服を着て」
瑞樹は、無表情のまま義人の手から下着をむしり取ると、震えながら身につけた。
「ほら。これも」
義人はティーシャツとスカートを手渡す。
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