1 密室

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 義人は一通り状況を把握すると瑞樹の両手を取った。  「ここから逃げよう」  「いやだわ。私ここにいたい」  「さっきの物音聞いただろ。とんでもない奴が扉のすぐ外にいるかも知れない」  瑞樹は義人の優しい語り口に落ち着いたのだろうか。小さく頷いた。  「よし。いい子だ」  義人は瑞樹手を取り自分の胸元に引き寄せる。しかし瑞樹の大きめの眼球が左右に震える。そして義人の両肩を手で突き放して言った。  「でも……どうやって逃げるの? 扉には鍵がかかってるし、ここは五階よ。落ちたら死んじゃう」 .
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