1 密室

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 「もし部屋の鍵が開いたとしても、扉から出るのは危険だよ。すぐそこに奴がいる」  瑞樹はそれを聞いて目を潤ませる。  「逃げる方が危ないじゃない」  瑞樹の頬を二筋の涙が伝う。義人は瑞樹の頭の後ろに両手を回して抱きしめた。  「きっと助かる。何かいい方法があるはずだ」  突然扉の外で鉄アレイを投げつけるような重く鈍い音が響く。二人は息を殺して外の様子に耳を(そばだ)てた。  『お願い……ぉ願ぃだから殺さないで』  外では女が虫の鳴くような声で命乞いしている。その直後に臓腑を引き裂くような音がした。 『やめ……て』  そして女が倒れる。扉の外はしんと静まり返る。 .
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