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瑞樹はそう言うと鞄から携帯を取り出しボタンを押そうとする。
「瑞樹!」
義人は突然瑞樹の携帯を取り上げた。
「何するの」
瑞樹は細く白い腕を義人の前に伸ばし携帯を奪い返そうとする。
「警察へ電話しようとしただろ」
「シト。返してよ」
義人は携帯を握ったまま瑞樹から遠ざける。
「だめだ。返さない」
義人はそう言うと、自分のビジネススーツケースの中に携帯を放り込む。そしてぱちんと閉じると四桁のナンバーロックを掛けた。
「何するのよ! 酷いじゃない」
「警察に電話するのはまずいんだ」
二人の間に険悪な雰囲気が漂う。
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