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ポルシェは三河安城駅の北側。静かな住宅街を横切り、高架橋の付け根に滑り込んだ。
『着いたよ。瑞樹さんも着いたらメールください』
七月の眩しい太陽は西の地平線に大きく傾き、東から紫色の夜が静寂を飲み込み始めている。そのとき胸のポケットで携帯の着信音が鳴った。
『駅に着きました。私は英字柄の白いTシャツにピンクのミニスカートです』
義人は瑞樹の服装を想像し挑発的だなと思う。
『了解』
義人は短い返事を送って待った。
<十八歳。アパレル系。スリム>
それが瑞樹について解っていることの全て。
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