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「ありがとう。そのまま中継続けてくれ」
『了解。シト』
義人は電話を切ると水原のDSを見て考える。瑞樹が言っていた倉庫は工場の北東側にある。
瑞樹と珠樹がいるのは、たぶん二階の部屋か地下の部屋。地下だったらお手上げだ。
義人と水原は、やっとのことで険しい草むらを抜け工場周りのアスファルトにたどり着く。そこには何体もの幽霊が行き来していた。
「瑞樹の言うとおりだ。ウヨウヨしてる。こいつらいったい何なんだ」
「わかりません」
そう言っている間にも何体かの幽霊が義人や水原に向かって迫ってくる。ぶつかったところでどうなるわけでもないのだが。その形相や仕草が酷いので悪寒と恐怖に襲われる。
「わたし、やっぱり恐いです」
「大丈夫だ。こいつらは何もできやしない。フラフラッと寄ってきてはすり抜けていくだけだ」
義人はそう言ってみたものの恐怖心を簡単に払いのけることはできない。
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