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二人は慎重に死体を避けながら進んでいく。いつ殺人鬼が襲ってくるかわからない。四方に気を配りながら緊張して進んだ。
やっとのことで倉庫の奥の扉を開け工場のメイン室に入る。
そこには幽霊も死体もなかった。前来たときと同じようにがらんとした空洞が広がっている。
「二階だ。位置はわかるか」
既に水原はDSを出して二人の位置を確認している。
「階段を上りましょう。位置は二階の東寄りの部屋。たぶん応接室でしょう」
二人は階段を上った。
「静かに。気がつかれると逃げられる」
二階の廊下に上がると、義人は息を殺してDSの図面に見入る。ヘッドフォンからは珠樹の呻き声が聞こえた。声を出したいが必死で我慢している。そんな声だ。
「あそこです」
水原が階段から四つ目の部屋を指さす。確かにドアの隙間から細く明かりが漏れ出ていた。
水原はナビ画面をカメラに切り替えて驚愕する。今まさに犯されようとしている珠樹の姿がそこにあった。
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