17 最初の救出

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『うぅ。やめて』 『喋るんじゃない。静かにしないと瑞樹の命はない』 義人は一刻の猶予もないと判断した。すぐに雅也のいる部屋の扉に取り付き、扉を開けようとする。 『やめて。触らないで』 『黙ってろ。瑞樹さんがどうなってもいいのか?』 ヘッドホンから、珠樹の嗚咽が聞こえてくる。 「だめだ。鍵がかかってる」 「冴島さん。これです」 今度も水原が素早く鍵を見分ける。義人は部屋の鍵を開け、急いで中に飛び込んだ。 そこには、裸同然の珠樹の姿があった。義人の姿を認めると大声で泣きながら抱きついた。 「恐かっただろう。もう大丈夫だ」 義人は珠樹の頬を伝う涙をハンカチで拭う。水原は珠樹の服を拾い背中にかけた。雅也は人の気配を感じてすぐに逃げたのだろう。部屋の奥の扉が開いていた。 義人は走って扉の向こうを確かめる。
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