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そこには、長いベランダ状のデッキがあり、鉄の梯子で下に降りられるようになっていた。
義人は下に広がるメイン室の空間をくまなく懐中電灯で照らして雅也の姿を探す。しかし見つけることはできなかった。
「くそう。逃げられた」
義人はそう言うと珠樹のところに戻る。
「珠樹さん。大丈夫?」
珠樹はしゃくり上げるように泣いている。なかなかうまく答えられないようだ。
「私。私……。大丈夫」
珠樹はやっとのことで答える。
「よかった。辛かったね」
珠樹は大きく頷くと、服を着た。まだ事は終わっていない。
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