19 大舞台

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瑞樹は両手を胸の前で合わせ前に突き出す。 工場の手前に爆弾が落ちたような炎が上がり、大型トラックが上空高く吹き飛ばされる。ところが、トラックは空中で静止したまま落ちてこない。 後輪が激しく回転し砂や小石だけがバラバラと落ちてくる。 「瑞樹……。串刺しもお前がやったのか」 朝日奈社長の顔が青ざめる。 「もちろんよ」 瑞樹はそう言うと、両手を一気に地面目掛けて振り下ろす。トラックは突然落下し地面に叩き付けらた。 大きな炎と土煙が舞い上がり、激しい金属音が周囲に轟く。 瑞樹は振り返ると朝日奈社長に向かって右手を振り上げる。 「ちょちょ、ちょっと待て。待ってくれ」 朝日奈社長はへたり込むようにその場に両膝をつく。強面のボディーガードもさすがに手出しできない。 「こんな私でよかったら連れて行きなさい。でもいつあなたが吹き飛ぶかわからないわよ!」 瑞樹は朝日奈を睨み付ける。
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