1 密室

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 細い鼻に大きめの瞳。涙袋が顔一面を愛くるしくしている。  一見すると純朴な中学生のような面立ち。しかしその体からは女性としての魅力が香り立っている。背は小さめだが足は長い。キュートなボディに不似合いなパステルカラーのスニーカーを履いている。  彼女は、張りのある胸の割れ目をポルシェの窓に近づけて囁いた。 「シトさんですか?」 「はい」  シトは義人のプロフネーム。義人はロックを外した。彼女は、短めのストレートヘアを揺らしながら車の前を横切り道路側に回り込むとドアを開けて座席に乗り込む。  「はじめまして。瑞樹(みずき)です」  そう言うと恥ずかしそうに微笑む。  ポルシェのシートが僅かに沈み、瑞樹の肢体を受け止めた。 .
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