1 密室

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 瑞樹は僅かに戸惑った表情を見せると視線を前に向ける。白いTシャツからブラが透けている。  「瑞樹さんはアパレル系で働いてるんだよね?」  「小さなブティックです」  瑞樹はそう言うと、背中をポルシェのバケットシートに深く沈めた。  「シトさんはこういうのよくするんですか?」  瑞樹がささやくような声で訊いた  「こういうのって?」  「出会い系で女の子と会うこと……」  「あぁ……正直言って初めて。段取りよくわからなくて」  「へぇ~。とても初めてには見えないです。ていうか、こんな風に会わなくても、すぐに彼女できるんじゃないですか? 細身でかっこいいし、それに優しそう」  「優しいは当たってるけれど他はそうでもないよ。彼女もいない」  瑞樹はちらっと義人の瞳を流し見ると恥ずかしそうに言った。  「私も彼氏いないです。リアルな関係っていろいろ面倒だし」  瑞樹はそう言うと左手をぼくの右足に乗せた。 .
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