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腕の中で眠る青年の髪を撫でる。
彼は起きない。ブレットメモリという、忌々しいギジメモリの副作用で、深い眠りについている。
「ふふっ……」
無防備な勇の寝顔に、口元が緩むのを抑えきれない。
小夜子は、勇の頬をゆっくりと舐めた。滑らかな舌触りに、心が昂る。
ここは人の目が多すぎる。これ以上のことは、目立ってしまう。
小夜子は、勇を車へと運ぼうとする。車まであと少しの所で、蹴りが飛んできた。
「勇を放せ!!」
ナナの蹴りを、小夜子はすんでで避けた。
支えを失った勇の体が、地面に倒れた。
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